夏目漱石 『倫敦塔』 その頃は方角もよく分らんし、地理などは固より知らん。 まるで御殿場の兎が急に日本橋の真中へ抛り出されたような心持ちであった。 表へ出れば人の波にさらわれるかと思い、家に帰れば汽車が自分の部屋に衝突しはせぬかと疑い、朝夕安き心はなかった。 夏目漱石の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア