奥の四畳半で先刻からお金さんに学課の復習をして貰っていた真事が、突然お金さんにはまるで解らない仏蘭西語の読本を浚い始めた。
ジュ・シュイ・ポリ、とか、チュ・エ・マラード、とか、一字一字の間にわざと長い句切を置いて読み上げる小学二年生の頓狂な声を、例ながらおかしく聞いている津田の頭の上で、今度は柱時計がボンボンと鳴った。
彼はすぐ袂に入れてあるリチネを取り出して、飲みにくそうに、どろどろした油の色を眺めた。
奥の四畳半で先刻からお金さんに学課の復習をして貰っていた真事が、突然お金さんにはまるで解らない仏蘭西語の読本を浚い始めた。
ジュ・シュイ・ポリ、とか、チュ・エ・マラード、とか、一字一字の間にわざと長い句切を置いて読み上げる小学二年生の頓狂な声を、例ながらおかしく聞いている津田の頭の上で、今度は柱時計がボンボンと鳴った。
彼はすぐ袂に入れてあるリチネを取り出して、飲みにくそうに、どろどろした油の色を眺めた。