青貝で梅の花を散らした螺鈿の葢は傍へ取り除けられて、梨地の中に篏め込んだ小さな硯がつやつやと濡れていた。
持主が急いで座を立った証拠に、細い筆の穂先が、巻紙の上へ墨を滲ませて、七八寸書きかけた手紙の末を汚していた。
戸締りをして夫の後から入ってきたお延は寝巻の上へ平生着の羽織を引っかけたままそこへぺたりと坐った。
青貝で梅の花を散らした螺鈿の葢は傍へ取り除けられて、梨地の中に篏め込んだ小さな硯がつやつやと濡れていた。
持主が急いで座を立った証拠に、細い筆の穂先が、巻紙の上へ墨を滲ませて、七八寸書きかけた手紙の末を汚していた。
戸締りをして夫の後から入ってきたお延は寝巻の上へ平生着の羽織を引っかけたままそこへぺたりと坐った。