小林の性格はよく知り抜いているという自信はありながら、不意に自分の留守宅に押しかけて来て、それほど懇意でもないお延を相手に、話し込もうとも思わなかった彼は、驚ろかざるを得ないのみならず、また考えざるを得なかった。
それは外套をやるやらないの問題ではなかった。
問題は、外套とはまるで縁のない、しかし他の外套を、平気でよく知りもしない細君の手からじかに貰い受けに行くような彼の性格であった。
小林の性格はよく知り抜いているという自信はありながら、不意に自分の留守宅に押しかけて来て、それほど懇意でもないお延を相手に、話し込もうとも思わなかった彼は、驚ろかざるを得ないのみならず、また考えざるを得なかった。
それは外套をやるやらないの問題ではなかった。
問題は、外套とはまるで縁のない、しかし他の外套を、平気でよく知りもしない細君の手からじかに貰い受けに行くような彼の性格であった。